クカトタイムス

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胎界主考察 001-【1部-01:使い魔-01】

胎界主が好きなので、第一話から順番にネタバレ有りの解説を書いてみようと思います。

とりあえずとっとと最新話までたどりつきたいところなんですが、とてもサクサクいけるような作品じゃないので、のんびりと始めます。

 

まず、冒頭。主人公である凡蔵稀男の養父母とタロット・アスinソロモン?です。

というか、初回なのにこのシーンしか解説できません。それぐらい、重要なシーンだと思っています。

 

2013年連載時点でロックヘイムにいる稀男を22歳~28歳ぐらいとしたとして、冒頭に出たアスの背丈が高い事から、ピュアのように身体の成長を止めているか、はたまたソロモンが施した設定で「タロット・アスが成長しない事に誰も疑問を持たない」とでも認識させられているのか。

とにかく、タロット・アスは稀男よりも歳上なのではないか?と推測します。

 

ただ、単純にそうだと言えないのが、このシーンや一部ラストのアス、どう考えても普段のアスより手足長いんですよね・・・。

そこで、1部ラスト【1部-27:帰還】のソロモンを見てください。外見はアスですが、明らかに手足が長い。

なので、1話冒頭で出たのは「タロット・アス」ではなく「ソロモン」だと考えます。これがソロモンによる干渉なのでしょう。

1話冒頭と27話ラストで共通するのが、「そこにタロット・アスはいないのにソロモンがいる」という状況です。

27話は当然の話として(アスはあの時、「稀男の家でキグルになったインキュバスのアリム」を見てボンヤリしているハズです)、1話はどうなのでしょうか。

 

1話冒頭のあのシーンに戻ります。

まず、「ソロモン」が「凡蔵夫妻」に「ロックヘイムの四つ葉」を渡します。

この四つ葉ですが、【二部-序章:バンシー牧場】では「取り替えの際の確認に使うモノ」と説明されています。

20年近くその形を保っている事、とてもよく弾む事から、植物かどうかも怪しく、少なくとも私達が知る四つ葉のクローバーとは全くの別物だという事がわかります。

 

次に、このシーンで「ソロモン」が果たしている役割を考えてみましょう。

この場のソロモンはいわゆる、事が終わったら「お前は!何も!見なかった!」をして

生成世界の人物に、自分の存在や干渉を認識させないままに望む展開を作っている所なのでしょう。

 

では、ソロモンの干渉は何だったのか。

それを知るには【2部-11:湯祭場】の回想シーンを見てみましょう。

ソロモンは「よい流れだ まったく ここまで来るのに 数百年もかかろうとは……」と言っています。

そこから、ソロモンが数百年前に例のオルクから帰還したエリアで「タロット・アス」を創り出している場面になるのですが

ソロモンはタロット・アスになるべく高性能な能力を持たせようとしましたが、アスが牧頭だった時期、アスはなんとかジンの召喚ができる程度でしかありませんでした。

その件は【2-12:観測塔】で触れられています。

「これ以上の 身の丈に合わぬ高性能は 「歪み」が生じて授けられなかった」

「そのアスの補助にと揃えた道具 「盾」「矛」「車」なのだが……」

とあります。

 

つまり、ソロモンは数百年前にロックヘイムへ帰還した時、次のちゃんとした帰還の為のプランを練っていたという事が伺えます。

そのプランのキーとなるのがアスで、おそらくこのおじいちゃんソロモンはアスを創り終えた時に原典世界へと帰っていき、その時にトゥエリス=エキドナオシリス=ハデスらの司神もロックヘイムから姿を消したものと思われます。

 

これらの事から考えると、アスの年齢も数百歳なのではないかなと思います。

にしては幼すぎるんですよね・・・。

それはおそらく、同格の他者との触れ合いによる人間性の成長といった要素が欠けていたせいなのではないでしょうか。

と同時に、周囲に子供だと思われているのは「タロット・アスがアールヴ人だという事を疑問に思わない事」と同様に、推論できないよう認識ロックがかけられているものと思われます。

まだまだアスには明かされていない部分が多いですね。

 

ただ、アスの遍歴についてはある程度わかる事があります。

【2部-13:死の神獣 レイス】において、子供の頃のルーサーとアスが対峙している時、アスの外見は現在と同じです。

これだけの情報では【2部-序章:バンシー牧場】でアスがハッグの所属から悪魔の所属へと移籍した時期を特定する事はできませんが、アスが稀男やルーサーよりも長生きである事は間違いないと言えるでしょう。

 

話を【1部-01:使い魔】の稀男の取り替えシーンに戻します。

稀男は正に、ソロモンに選ばれたアスの為の「車」です。

強大な運ぶ力を持つ胎界主がアスと関わるように仕向けたのでしょう。

そもそも取り替えの仕組みすらよくわからないのですが、取り替えの際にはあのクローバーに触れた2人の赤ん坊が

ロックヘイムとソロモンヘイムの間で取り替えられて、不要なニスをソロモンヘイムに送り、有用な純人間を獲得するという

托卵と拉致を同時に行う無茶苦茶な仕組みである事は間違いありません。

 

では、ソロモンが稀男とアスを引き合わせる為にした干渉とは何だったのか。

【1部-25:生成世界の奇蹟】で稀男が1話で殺したヤーサン経由でソロモンの声を聞いた時、稀男は何かを思い出したけれど、「ソロモン」関連の情報なのですぐに認識できなくなりました。

両者に共通するキーワードは「それが真実だ」です。

そのキーワードは本物の純人間の稀男が取り替えられる前に1回。取り替えられた後に1回発せられています。

ソロモンがした「干渉」は、「強大な運ぶ力を持つ胎界主をソロモンヘイム=日本=鮒界市に送る」という干渉をして、干渉をしなければ別の所へ送られていたハズの「稀男」を鮒界市へと送りました。

 

この事はソロモンヘイムである事が重要なのか、日本である事が重要なのか、鮒界市である事が重要なのか。それはまだわかりません。

ただ、状況から推測すると、数百年前にソロモンヘイムの地球には人類が認識できていないだけで骸者による侵攻があり、人類の数をかなり減らしました。

その状況下において日本が比較的安全であった事は間違いないと言えるでしょう。

ほど良いタイミングが訪れるまで、凡蔵稀男という胎界主がHEADに取り込まれてアスの下僕になる前に魔王の所有物になるのを防ぐ。そういった事情があったのかもしれません。

 

そして、稀男の現在の主人格。「無我」

【1部-21:人でなしの夢】で井戸の住人は

「気味の悪い話さ」

「どう考えたって 白紙から何かが 産まれるわけねぇのさ」

「実のトコロ このバケモノが どっから来たのか 俺らにもわからねえのさ」

と言っています。

「無我」は、ゼブブがアスの複体に自我を伝染させたように、ソロモンが稀男に仕込んでいたものなのではないでしょうか。

 

ただ、「稀男」が「アスの車」として選ばれた事はソロモンの初期プランではありません。

【1部-26:無責任飛行】の正気のゼブブとメフィストフェレスの会話を見てください。

「その昔 タロット・アスは ピュアに仕えていた」

「ソロモンは その中に潜み 時が来るまで 待っていれば よかった」

「だが 私の画策により ピュアと敵対し ロックヘイムから逃げざるを えなくなった」

とある通り、ソロモンがゼブブに邪魔をされてピュアと敵対してしまった事に対する対抗策がアスに運ぶ力を与える事だったのでしょう。

 

とにかく、これで取り替えシーンからの考察を終わります。

あと、稀男の養父母である凡蔵夫妻ですが、有料版の設定資料集の初期設定では妻は本物の稀男を探して行方不明になった

というプランもあったようですが、本編では夫婦揃って亡くなっており、資料集においても「両親は事故死でもしたんじゃないかしら」とあるので、本編に深く絡んではこないようです。

 

次回は1話の使い魔冒頭を考察します。