ひまスペ兎のレビュー
去年に作ったエントリなのですが、はてなブログの不具合?から削除されたので再掲載になります。
気を取り直しまして
2012年の10月4日に発売された
ひまスペ兎!というジャンプSQ19の漫画のレビューになります。
明らかに表紙絵で損してると思いますが、とても良作です。
遠い未来を舞台にした、宇宙トラッカー(主に地球産の食料品や水等を開発済みの星やコロニーへ配達する輸送船乗組員)4人+1匹の物語です。
左上のが主人公で船長のカナ
右上が航法・会計士のせっちゃん
左下がアンドロイドのマキちゃん
右下が機関・整備士のビビちゃん
中央がメンテナンス・会計ロボットのユイちゃんという構成になっています。
メインテーマは
宇宙――そこは最後のフロンティア!!
遥か未来
星々の海に漕ぎ出した人類はそこを第二の故郷とせんと果敢な挑戦を繰り返していた
だがそこには幾多の危険と未知との遭遇…
…そして
想像を絶する暇と退屈が待ち受けていたのである!!
(自動化の進んだ長期の宇宙旅行は食う寝る以外にあまりやることがないのだ!!)
という内容です(原文ママ)。
このナレーションがほぼ毎話挿入される、基本的に一話完結な全9話1巻完結の漫画となっています。
見所は、なんと言っても設定協力:川村 巧さんによる、綿密なSF設定でしょうか。
というのもこのひまスペ兎、季刊誌であるジャンプSQ19において不定期連載するレベル(作画の中島諭宇樹先生にVジャンプでのデジモン連載があったというものもあるけれど)のスローペースで連載しており、単行本1冊出すところで限界が来たみたいなんですよね・・・。超残念。
まぁ、その9話の内容を紹介しますと
2:無重力空間における慣性と作用・反作用
3:無重力下の水の動き・性質
4:有人コロニー及び宇宙船で発達、適応したゴキブリ達
5:宇宙服で大気圏突入。大気圏の危険とは何か
6:ライトクラフトによるローコストな惑星離脱と惑星に働く重力や衛星軌道について
7:SF。この世界観におけるワームホールについて
8:惑星開拓時代における水の重要性と、無重力下の雪合戦について
9:SF。地球以外の生命が住む惑星の性質とそこに適応した宇宙生物について
となっています。
これらに例えば1話なら「コリオリ枕投げ」のような面白おかしいタイトルがつけられており、漫画が終わった後に2ページのキャラクター達による宇宙についての文字解説、「銀河暇潰しガイド」が挟まれる形になっています。
キャラクターが魅力的なのも素晴らしいのですが、何よりも知的好奇心を満足させる内容、今まで誤解しがちだった宇宙空間描写に対するわかりやすい解説が行われているのが特徴です。
プラネテスみたいに、NHKでアニメ化されてほしい所です。いや、ホント
この作品独自のSF要素としては、人類が宇宙に進出できるようになったきっかけが上述の安全に使えるワームホール・ゲートウェイが銀河のハビタブルゾーン(居住可能範囲)に属してる箇所にいくつも発見され、しかもそこに人類以外の知的生命体が確認されなかった事から、何光年も離れた星に数週間程度でたどり着けるようになっているという設定が入っています。
最初読んだ時はそういうのはどうだろうと思っていたのですが、やっぱりちゃんと宇宙に出る事が商売として成立している世界観設定は必要ですし、最終話の宇宙生物紹介の為にも必要ないい設定だと今では思っています。
宇宙に興味があるけれど、最近いい本が無いなぁとか
凸凹幼馴染による良い百合本ねーかなぁとか
褐色美少女いいよね・・・とか
大食いアンドロイドいいよね・・・とか
そういう事思ってるそこのあなたにオススメです。
拙いレビューで魅力を完全に伝えられなかったのが悔やまれる・・・